債務整理者の統計データ

「借金の返済が苦しいけど、まだ弁護士に相談するほどではない…」そうお考えのあなた!では、いつが正解なのでしょうか?

ここでは裁判所司法統計と日本弁護士連合会の調査をもとに、すでに債務整理をした方の統計データを紹介します。

どんな人が、どんな状況で借金整理に踏み出したのかを知ることで、少しでもあなたの不安が解消されることになります。

1.2014年の債務整理件数

現在日本では、住宅ローンや自動車ローン、キャッシングやリボ払いなども合わせると1,000万~2,000万人が借金をしていると言われています。

そして、何らかの事情で返済が難しくなり、債務整理をする人も大勢います。

  • 自己破産 66,838人
  • 個人再生 7,937人
  • 任意整理 300~500万人? 

任意整理は裁判所を通さない手続きになるため正確な数字は不明。しかし、債務整理の中で最も手軽でデメリットが少ないという点から300~500万人程度の件数があると言われています。

2.統計データの概要

紹介する内容は日本弁護士連合会の2014年調査に基づく「個人再生」と「自己破産」に関するデータであることを先にお伝えします。

こちらの統計も裁判所司法統計と同じ理由で「任意整理」と「過払い金返還請求」のデータが含まれていません。

しかし、このデータを解析することで、あなたが任意整理や過払い請求する場合にもひとつの指標としてお役に立つことでしょう。

3.債務整理した人はどんな人?

3-1.借金はいくらあったのか?

債務者が弁護士に依頼したときに「どれだけ借金を背負っていたのか?」がこのデータからわかります。注目してほしいのは基本的に借金の額は関係ないという点です。

これは「借金がいくらだから弁護士に相談する」ではなく、金額の大小に関わらず誰しもが借金に苦しんだ結果、債務整理に踏み切ったということです。

総借金額 個人再生 自己破産
100万円未満 0.99% 6.61%
100~199万円 1.98% 14.60%
200~299万円 6.64% 11.53%
300~399万円 8.33% 9.19%
400~499万円 6.92% 6.29%
500~599万円 7.06% 3.31%
600~699万円 5.65% 3.55%
700~1,000万円 10.45% 6.37%
1,000~5,000万円 48.74% 29.60%
5,000~9,999万円 2.12% 4.27%
1億万円以上 0.28% 4.35%
不明 0.85% 0.32%

3-2.何社から借り入れしていたのか?

債務整理の依頼者は平均6.8~7.5社からの多重債務。返済が苦しくなり、他から借りる。また苦しくなり、他から借りるの繰り返し。

一度、自転車操業状態に陥ると、負の流れに巻き込まれ、完済は非常に困難になります。

貸金業者数(2014年)
  • 個人再生をした人は平均6.8社から借り入れ
  • 自己破産をした人は平均7.5社から借り入れ

3-3.借金をした理由・原因

借金をした理由・原因の第一位は「生活苦・低所得」です。2014年厚生労働省の国民生活基礎調査より、62.4%の世帯が「生活が苦しい」と答えています。

そんな厳しい生活状況でなんとか生き抜くための借金だったことがわかります。債務整理とはまさしくそのような方を救うための法的手段です。

個人再生 自己破産
  1. 生活苦・低所得 35.73%
  2. 住宅購入 26.98%
  3. 浪費・遊興費 16.53%
  4. 給料の減少 15.96%
  5. 事業資金 14.12%
  6. 負債の返済 13.70%
  7. 生活用品の購入 12.70%
  8. 病気・医療費 12.15%
  9. 失業・転職 11.02%
  10. ギャンブル 11.02%
  11. 保証債務 10.31%
  12. 教育資金 9.04%
  13. クレジットカード 6.07%
  14. 借金の肩代わり 3.95%
  15. 投資 3.39%
  16. 冠婚葬祭 0.85%
  17. 名義貸し 0.56%
  18. その他 15.54%
  1. 生活苦・低所得 60.24%
  2. 保証債務 22.42%
  3. 事業資金 21.37%
  4. 病気・医療費 20.73%
  5. 失業・転職 19.84%
  6. 負債の返済 17.18%
  7. 住宅購入 16.05%
  8. 給料の減少 13.47%
  9. 生活用品の購入 11.21%
  10. 教育資金 7.82%
  11. クレジットカード 6.61%
  12. 浪費・遊興費 5.97%
  13. 借金の肩代わり 4.76%
  14. ギャンブル 3.87%
  15. 名義貸し 2.10%
  16. 冠婚葬祭 1.61%
  17. 投資 1.21%
  18. その他 13.47%

3-4.初めての借金から債務整理するまでの期間

初めて借金をした日から、どれだけの期間を経て債務整理したのかがわかります。結果は5年以上が圧倒的に多く、長い間借金を繰り返し、膨大な利息に圧迫され、返済が難しくなったと考えられます。

早い段階で決断していれば、任意整理で対応できたかもしれません。

借金から債務整理までの期間 個人再生 自己破産
1年未満 0.42% 0.81%
1~2年未満 1.55% 1.53%
2~3年未満 3.25% 2.02%
3~4年未満 2.26% 2.10%
4~5年未満 4.10% 5.48%
5年以上 87.99% 86.77%
不明 0.42% 1.29%

3-5.年齢

「30代」の家庭を持ち始める年代から、子育てを終える「50代」が若干多く感じられます。これは借金理由の第一位の「生活苦・低所得」と因果関係がありそうです。

その後も養育費や学費の支払いは続き、子供の大学進学や自動車免許取得、仕送り、結婚、家や車の経年劣化など、大型の出費がかさみます。

数十年というスパンで考えると、借金の減額は少ないですがブラック期間も少ない任意整理も考慮しなくてはなりません。

年代 個人再生 自己破産
20代 6.64% 6.37%
30代 23.73% 18.15%
40代 34.32% 27.02%
50代 25.56% 21.05%
60代 8.33% 18.71%
70以上 1.41% 8.63%
不明 0.00% 0.08%

3-6.性別

性別は、個人再生は住宅ローン特約の関係で男性の割合が多くなっています。自己破産に至っては男女の差はほぼ無いと考えます。

また、任意整理や個人再生は安定した収入がないとできませんが、自己破産は無職・無収入でも可能であることも影響しています。

性別 個人再生 自己破産
男性 79.94% 57.74%
女性 19.92% 42.26%
不明 0.14% 0.00%

3-7.収入

月収5万円でも完済できる人がいれば、月収50万円でも返せない人もいます。収入の大小ではなく、「毎月いくら返済できるか?」という返済能力が重要なのです。

そのため状況によっては「任意整理で月々の返済額が減り、破産せずに済んだ」というケースもあります。

月収 個人再生 自己破産
5万円未満 0.99% 20.24%
5~10万円未満 3.95% 16.61%
10~15万円未満 9.32% 23.63%
15~20万円未満 18.36% 17.26%
20~25万円未満 20.90% 8.55%
25~30万円未満 15.96% 6.05%
30万円以上 27.12% 6.05%
不明 3.39% 1.13%

3-8.職業

定額収入が必要な個人再生は「主婦・内職」「生活保護受給者」は0%ですが、この結果も「収入」と同様に「この職業だから…」というものはありません。

安定の職業ナンバーワンの公務員は「その他」に含まれるようです。

職業 個人再生 自己破産
正社員 73.73% 27.34%
正社員以外 11.72% 26.69%
自営業 12.01% 5.16%
主婦・内職 0.00% 1.13%
年金生活者 1.84% 7.26%
生活保護受給者 0.00% 11.13%
無職 0.14% 20.00%
その他・不明 0.56% 1.29%

4.まとめ

あなたに今一番注目してほしいのが「借入社数」と「借入期間」です。3社以上から借りていたり、3年以上返済しているなら、黄色信号が点滅しているかもしれません。

自分の借金について、もう一度じっくり考えてみる良いチャンスです。