「借り入れから10年経ってしまった…」と、過払い金返還請求をあきらめてはいませんか?
こんな勘違いをしている方が意外と多いのです。借金問題で一番やってはいけないことは、自分だけで判断してしまうこと。
ここでは過払い金の時効について解説します。
1.過払い金の消滅時効は、最終取引から10年
過払い金の時効は10年です。この時効がくると、貸金業者は過払い金を返還する義務がなくなり、あなたのお金は消滅し取り戻すことが不可能になります。
ここで勘違いしやすいのが、いつから10年なのか?という問題です。
過払い金の時効10年の期間を数えはじめる起算点は「最終取引日」からです。最終取引日とは、「完済した日」もしくは「最後に返済した日」「最後に借入した日」です。
例えば、20年前に借り入れし、6年前に完済した借金には、まだ4年の時効期間が残されています。
よって、個人個人の借金の状況で時効の日は異なります。借り入れした日(契約日)や大手消費者金融の金利引き下げ日(2007年ころ)、グレーゾーン金利撤廃(2010年6月18日)から10年ではありません。
2.借入と完済をくり返した借金は「取引分断」になるかも!
過払い金の時効の起算点についてはご理解いただけたと思います。ここから少しややこしくなりますが、大切なことなのでぜひついてきてください。
では、同じ貸金業者から2度借り入れをしている場合はどうなるのでしょうか?
- 【借入A】20年前に1度目の借り入れをして、15年前に完済
- 【借入B】13年前に2度目の借り入れをして、4年前に完済
同じ貸金業者から2度借り入れをした場合、借入Bは時効期限内なので過払い金請求は当然できます。でも、借入Aの過払い金は時効10年をすぎているので取り戻せないのか?
ここで「取引分断」という言葉が出てきます。取引分断とは「借入Aと借入Bは別々の取引」と考え、過払い金請求もそれぞれ個別になります。そのため、すでに完済から10年以上が経っている借入Aの過払い金は取り戻せません。
一方で、「借入Aと借入Bは一連した取引」という考え方もあります。「一連取引」と判断されれば、借入ABの過払い金を請求できます。
お金を返したくない貸金業者は「分断」、お金を取り戻したい請求者は「一連」と主張するのは当然です。ここで両者の折り合いがつかなければ地方裁判所や最高裁の判断に任せることになります。
裁判所では、借入ABの取引間隔、取引内容、取引条件、取引経緯などを考慮して判断します。そのため、判決は事案ごとに結果が異なり、裁判官や弁護士でない限り予想もつきません。
しかし、裏を返せば可能性があるということです。今回はわかりやすいように借入AとBのふたつで解説しましたが、実際の借入はもっと複雑なはずです。絶対に自分だけで判断しないようにしてくださいね。
3.「不法行為」があった場合、10年以上経過していても請求できるかも!?
「不法行為」とは、取り立てで脅迫された、暴力を受けた、法的根拠がないのに請求された、などが該当します。
最高裁では「社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合」と表現していますが、要するに「違法行為はもちろん、一般常識やマナー、モラルで考えて明らかに悪意がある場合は不法行為である」ということ。
神戸地裁で、平成2年に完済した借金に対して平成18年に過払い金請求をした判例があります。
この取引では、「完済している借金を、まだ借金が残っているとダマし返済を続けさせた」という貸金業者の不法行為が認められ、時効10年以上経過している借金について過払い金返還命令が下されました。
不正行為が認められるのはめずらしいケースではありますが、お心当たりがあれば弁護士に無料相談してみてはいかがでしょうか。
4.時効が残っていても返還請求は急ぐべき!
「なんだ時効がまだあるから、もう少しゆっくり考えよう」そんなのんびりしていると、時効が来る前でも過払い金を取り戻せなくなる恐れがあります。
それは、倒産です。倒産した貸金業者には過払い金返還請求ができません。
現在のところ、取り戻した過払い金は6兆円。しかし、発生した過払い金は10兆円と言われています。
あの武富士が倒産したことはご存知ですよね。原因は過払い金の返還です。どんなに有名でも、どんなに大手でも倒産の可能性はあります。
- SFコーポレーション(三和ファイナンス)
- アエル(日立信販・ワールドファイナンス・ナイス)
- 丸和商事(ニコニコクレジット・ダイレクトワン)
- マキコーポレーション
- NISグループ(ニッシン・オリエント信販)
- 栄光
あのアコムも例外なく巨額の赤字を出しています。アイフル、クレディア(フロックス)、ネットカードは倒産の危険性が高いと噂されています。
過払い金はあなたのお金です。しかし、あなたが行動を起こさなければ戻ってくることはないのです。