法テラスとは正式名称を「日本司法支援センター」といい、国によって設立された法律トラブルの総合案内所です。
それまでは全国の法律相談窓口がひとつになっておらず「どこに相談すればいいのかわからない」「近くに専門家がいない」「相談するお金が無い」という国民に情報やサービスを提供するため、2006年10月に設立されました。
「国がやっているなら間違えがない!」本当でしょうか?
ここでは、法テラスの弁護士費用やメリット、デメリットを紹介し、民間の弁護士事務所との違いを解説します。
1.法テラスで働くスタッフ弁護士の現状
法テラスの弁護士は「スタッフ弁護士」と呼ばれ、安い給与制で働いています。民間の弁護士が断るような「利益を考えると割りに合わない案件」「引き受け手がない難解な案件」も数多く相談が寄せられます。
そのような苦しんでいる人を真剣に救いたいとの想いで、法テラスで働く立派は弁護士も数多くいるでしょう。しかしながら、「自分で仕事をとれない」「新米なので経験を積むため」という一部の弁護士もいることは事実です。
さらに残念なことに、弁護士を指定することはできません。同じ医者でも、内科、歯科、小児科で得意とする分野が違うように、弁護士にも借金問題が得意不得意があり、不得意な弁護士に当たる可能性は十分にあります。
ここで理解してほしいのはあなたの一生を左右する問題を知らない人に相談しますか?ということです。
2.法テラスは3回まで無料相談OK
法テラスは3回まで無料で相談(1回30分)することができます。この部分だけを聞くと良く聞こえます、しかし同じ弁護士や司法書士に相談できるわけではありません。つまり、3回とも違う人に相談しなければなりません。
いろいろな人に相談したい方には良いかもしれませんが、30分という時間の制限がある以上それほど深い相談ができるでしょうか?実際に法テラスのホームページには「特定の弁護士又は司法書士を指定することは出来ません」としっかり記載されています。
3.法テラスの営業時間や土日の相談
法テラスの相談は平日9時~17時で事前予約が必要です。あなたは平日9時~17時は何をしていますか?私は仕事をしていますので「仕事を休んで来てください」ということでしょう。さすがお役所管轄ですね。
さらに相談会場は「法テラスの地方事務所や法テラスが指定登録した弁護士又は司法書士の事務所」と記載されています。問い合わせないと場所もわかりません。
4.法テラスの弁護士費用の基準
法テラスの弁護士費用は、法テラス公式ホームページの民事法律扶助業務に記載してあるのですが、非常にわかりにくいため、下の表にまとめました。
任意整理 | |
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債権者1~5社 | 着手金:100,800円、実費等:25,000円 |
債権者6~10社 | 着手金:151,200円、実費等:25,000円 |
債権者11~20社 | 着手金:172,800円、実費等:30,000円 |
債権者21社以上 | 着手金:194,400円、実費等:35,000円 |
個人再生 | |
債権者1~10社 | 着手金:35,000円、実費等:162,000円 |
債権者11~20社 | 着手金:35,000円、実費等:183,600円 |
債権者21社以上 | 着手金:35,000円、実費等:216,000円 |
自己破産 | |
債権者1~10社 | 着手金:23,000円、実費等:129,600円 |
債権者11~20社 | 着手金:23,000円、実費等:151,200円 |
債権者21社以上 | 着手金:23,000円、実費等:183,600円 |
※個人の状況により、任意整理:291,600円、個人再生:324,000円、自己破産:275,657円まで増加する可能性あり、その他官報掲載費用10,000~13,000円、管財事件の場合20万円までの追加あり
5.法テラスに依頼するときの条件
法テラスには利用条件があり、誰でも相談できるわけではありません。ホームページで確認してもとても分かりにくくなっています。簡単に説明すると、
- 世帯(相談者と同居する家族)の収入が基準より少ないこと
- 世帯(相談者と同居する家族)の資産が基準より少ないこと
金銭的にも困っている人を助けるという趣旨からすると、お金がある人は他の弁護士に相談してくれというのは理解できます。ただし、医療費や教育費などは収入から差し引くことができる場合があったりと、相談者個人で判断するのは極めて難しく不親切です。
6.法テラスの口コミや弁護士の評判
法テラスの口コミや評判は良くありません。その背景には、
- 自分で仕事をとれないので法テラスで働く弁護士がいる
- とりあえず経験を積むため法テラスで働く新米弁護士がいる
- 報酬が少ないのでモチベーションが低い弁護士がいる
- 債務整理に強く、経験豊富は弁護士ばかりではない
法テラスにも実力や経験がある素晴らしい弁護士はいます。しかし離婚問題に強い弁護士に債務整理を相談しても意味がありません。餅は餅屋。法テラスの一番の問題点は相談者が弁護士を選べないことにあります。
7.まとめ
- 無料相談は3回までで、3回とも弁護士が変わる
- 無料相談は平日9時~17時のみ(東京、大阪除く)
- 弁護士費用は、比較的安め
- 利用条件に、収入や資産がある
- 弁護士を選ぶことはできない
法テラスで債務整理に強い弁護士に当たれば決して悪くはありません。しかし、債務整理の実力や経験のない弁護士に当たったらどうなるでしょう?
債務整理で失敗しない方法は、実力と実績がある弁護士に依頼することのみです。「運」試しをしたい方以外は、あなたの人生を決める選択は、あなた自身で信頼できる弁護士に相談してください。